2023年02月07日

消えゆく紬です

 前回の記事で、近い将来消えてしまう可能性が高い紬とは、こちらの
消えゆく紬です
士乎路紬(しおじ紬)の事です。

 昭和50年の春に能登の地で、結城の特徴である真綿糸(ふんわり着心地)を、草木染して高機で織りあげる事で生まれました。

 創始者の水島繁三郎氏は、東京工業大学を卒業後、ユニチカの工場長、工業試験場、大学講師などを勤めるかたわら、日本各地の織物について、自ら足を運んで調べ上げます。

 そしてたどり着いたのが、真綿手引き糸の風合いと草木染の科学的解析と融合、という当時の織物現場では類を見ない製法でした。

 結城の手引きによる真綿糸づくりの動作・力加減をコンピューターに記憶させマジックハンドで紡がせる。その真綿糸には草木染に耐えるように極細の精錬された絹糸を巻き付け、高分子化学で解析した草木染のエキスを活用して染め、タンパク加工(絹糸は2種類のタンパク質から出来ています)を施して、最初から優しい着心地を実現。
(昭和56年 加納株式会社より発行の「伝統の染織 手づくりの人と心」より参照)

 もうブログ書いていて理系に疎い私の頭じゃ、サッパリですが。

 要するに

 体をふんわり包み込んでくれる、絹の真綿感と草木染の自然な色合いが素敵な紬です。

 当店でも、京都「室町の加納」と付き合いだした時から数十年、この士乎路紬と三才山紬は家族皆、そして多くのお客様に愛されて参ったわけですが、大変残念に思います。

 別の機屋に、同じ仕様での存続もどうかと打診をしても
 
「その仕様で織りあげたら、とてもじゃないが、その値段で納めることは無理。そもそもビジネスとして成立する手間暇を超えてる」

 との返事だったそうです。

 

 当店販売価格は22万円~30万円台~40万円台(無地or縞or絣そして糸質の違い、縮織などで変わります)です。

  今回の展示会には当店在庫に加え、2月1日に京都の加納で私が選び抜いてきた士乎路紬20点以上をお目にかけることが出来ます。
 是非、ご自身の手で風合いをお確かめください。

 



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Posted by マッチョな呉服屋 at 10:57│Comments(0)和の美
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